今回のお客様は、2015年12月に開催した「器プロジェクト」にご来場頂いた建築設計室Morizo-・内田さんのお知り合い。お電話を頂戴しお伺いしたところ、お客様のお宅は「昭和を色濃く感じる」日本の家。なんとも素敵なこのお家!幸い戦火にもあわず、残ったとおっしゃっていました。
玄関には、お客様をお迎えする三畳の「玄関間」があり、そこには「無」の文字の衝立。廊下を通り、通された客間には、当然のように付け書院のある床の間、掛軸、和額。なんとも風情のある日本家屋です。このような日本の家は、夏、風通しを考えて襖(ふすま)を取り外し「簾戸」を取り付けます。今回、襖(ふすま)張替のご依頼を頂いたきっかけは「夏に襖(ふすま)を収納していた際に汚れてしまったので張替をしたい」とのことでした。元々張られていた襖(ふすま)紙は、越前手漉き「本鳥の子」。汚れのある箇所以外はまだまだ紙表面も美しいですが、前回張り替えしてから二十年ほど経っているとか。年数を経ても味わいを残すのは、さすが「手漉き和紙・本鳥の子」の襖(ふすま)紙です。今回お客様がお選びになったのは、からかみ「風柳」。風にゆれる柳の葉が「2色の雲母」で手刷りされた襖(ふすま)紙。光の加減で柄が見え隠れし、雲母の光沢が美しく浮かび上がります。引手はこのお家を建てられたときから使用されているであろう高級品、銅製。長年使用できる高級引手であるため、今回は既存の引手をそのまま使用しています。客間の襖(ふすま)を開けると、続き間があります。こちらのお部屋は、裾七宝柄の襖(ふすま)となりました。玄関の襖(ふすま)は、越前手漉き雲肌(本鳥の子)。斜めから見ると、雲肌の優美な渦が美しく輝きます。
「良いモノを長く使う」という心情をお持ちのお客様。
「確かに、良いモノは高価です。現在は色んなモノがありますが、ランニングコストを考えると、あまり変わらないように思いますよ。」と。モノがあふれかえる、使い捨ての時代。お客様の言葉と、長い年月を経たこの日本家屋の持つ雰囲気に包まれ、心温まりました。
この度は当店をご利用いただき、誠にありがとうございました。是非、またさまざまなイベントへもお越しください。お待ちしております。
【張替】 | |||
柄 | からかみ「風柳」 | 裾七宝(印刷) | --- |
ふすま骨 | 既存品 | 既存品 | 既存品 |
下張り | 上下張り(純楮和紙) | 並下張り | 上下張り(純楮和紙) |
紙 | 鳥の子 | 鳥の子 | 越前手漉雲肌 K-2229(錆青磁色) |
染め色 | 色雲母二色 | --- | --- |
ふすま縁 | 既存品 | 既存品 | 既存品 |
引手 | 既存品 | 既存品 | 既存品 |
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